滝沢カレンの日本語を笑うな
(takizawakarenofficial からスクショ引用)
滝沢カレンという女性タレントをご存知だろうか。
92年生まれのハーフ美女モデルで、現在バラエティ番組に引っ張りだこ。その独特な日本語の言い回しが注目され、「全力!脱力タイムズ」などでナレーションも務めている。
そう、テレビで彼女のトークを聞いた人は知っているだろうが、滝沢カレンはとにかく日本語がヘタクソなのだ。
Googleで「滝沢カレン」で検索してみても、彼女の言語力をあげつらう記事が多い。テレビでもネットでも「滝沢カレン=日本語が下手な人」と認識されている。
▼「滝沢カレン」でググった結果
確かに彼女は日本語があまり上手くない。だが彼女の日本語をバカにし、あざ笑うのは的外れもいいところだ。
そこで私は声を大にして言いたい。
滝沢カレンの日本語を笑うな
と。
Instagramに見る「言葉づかい」への探求心
まずは彼女のインスタグラムから、最近の投稿を引用する。
本日21:00〜より日本テレビさんにて「1分間の深いい話」に出場します
またもや変わることなく、主人公を見つけ出し、人々のあらゆる生き方に追求し、なおかつ素晴らしいお言葉を言ったのならそれを1分間のカウントダウンを持ち寄り、部屋の中にいる私たちの手で深いいか、う〜ん というまさかの極端にも程がある という2択で数人だけで決めつけるという、なんともこの時代としては思い切ったやり口の番組です
だからと言ってそれを、芸人さんたちの頭により、こんなに面白くなるか!? という摩天楼な現実を受け止めてください
毎週スペシャル大御所さんのらのレギュラーさんたちを出場で、贅沢に一回で観ることが出来るんです 21時なんて言ったら、絶対みなさんテレビの前でチャンネル騒動が起きてるでしょうに、、そんな中、ここばかりは負けじと日本テレビさんにカーソルを合わせてください
(takizawakarenofficial 1月30日の投稿から引用)
確かに何を言っているのかよくわからない。というか、もう何も伝わってこない。「摩天楼な現実」ってなに。
だがよく見てほしい。滝沢カレンの言葉のなかには「マジ」や「ヤバイ」といった若者言葉が一切ない。
それどころか「あらゆる生き方」「追求」「極端にも程がある」など、自分の持ちうる日本語知識を総動員して「いい文章を書こう」というモチベーションがかいま見える。
この事実に思い至ったとき、私は滝沢カレンの「日本語」に向かう誠実な姿勢に驚いた。と同時に、自分の言葉づかいを恥じた。
いざ自分の日常での日本語を振り返ってみると、「ガチ」「パない」「ワンチャン」 といった汚い言葉づかいが多かったように思う。
滝沢カレンの年齢(20代半ば)を考えると、周りにも若者言葉を使う人や乱れた言葉を使う人は少なからずいるはず。にもかかわらず、彼女は「日本語」に誠心誠意向き合って言葉を選んでいる。
正直に言うと私は、「全力!脱力タイムズ」の滝沢カレンのナレーションを観ながらいつも笑い転げている。
「超ウケるんだけど!」と言いながら。
滝沢カレンがおよそ使わないであろう若者言葉「超」「ウケるんだけど」という言葉を使って笑っている。なんと厚顔無恥な行為であろうか。
このことに気づいて以来、私は滝沢カレンを尊敬している。
かといって他のみんなにも私と同じように彼女を尊敬しろとは言わない。
ただ、
ただ…
滝沢カレンの日本語を笑うな――