キタキツネの赤ちゃん

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山崎育三郎の独り舞台「あいの結婚相談所」を見よ――感想という名の布教

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山崎育三郎! 山崎育三郎!! 山崎育三郎!!!

ドラマ『あいの結婚相談所』がとんでもなく面白い。個人的には2017年夏ドラマで圧倒的ナンバーワン。豊作が多い今年のドラマのなかでも、際立って異彩を放つのがこの作品だ。

では一体なにがそんなに面白いのか。これから『あいの結婚相談所』の視聴者をさらに増やすため、"感想"の名目で布教したい。

山崎育三郎のワンマンショー

主人公は山崎育三郎演じる藍野真伍。舞台は藍野が営む結婚相談所、「あいの結婚相談所」となる。

藍野が掲げるキャッチコピーは「成婚率100%」。200万という高額な入会金が必要ながら、入ってしまえば必ず結婚できるという。物語は藍野とアシスタントのエリザベス(高梨臨)をストーリーテラーとし、結婚を目指す者を時に励まし、時にあざむき、時にミステリーを解決しつつ成婚させていく。

 

とまぁここまで見れば「若干破天荒だけど普通のドラマ」。だが本作の魅力は"山崎育三郎、究極のワンマンショー"にある。

まず歌う。とにかく歌う。森でも車内でも山でも、とにかく歌ありき。高梨臨前田美波里が会話する、その後ろのほうで育三郎が歌う。

山崎育三郎はミュージカル「レ・ミゼラブル」で本格デビューした俳優。その山﨑の歌唱力・表現力をもってして、ドラマ作品でありながら、ところどころがミュージカル調になる。

その姿、まさに水を得た魚。恐らく広辞苑で「水を得た魚」の説明に「『あいの結婚相談所』に出ている山崎育三郎」と書いてあっても異論が出ない。と思えるほど濃ゆい山崎育三郎を垣間見れる。

 

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思えば今年の山崎育三郎は、カッチリしたイメージの役が多かった。1月期『突然ですが、明日結婚します』では敏腕ビジネスマン、『あなたのことはそれほど』でもビジネスマン。

WOWOW放送『宮沢賢治の食卓』では音楽教師としてピアノ演奏のシーンもあったが、決して"はっちゃけた"役柄ではなかった。で、出てきた初主演ドラマが『あいの結婚相談所』なのである。だから、もともと山崎育三郎のファンだった人は、こう喜んでいるのではないだろうか。「ヒャッホウ」と。

 

ここまで『あいの結婚相談所』と山崎育三郎を推してきたが、僕はもともとこの俳優さんのファンでもなんでもない。失礼ながら「『あなそれ』のホモの人ね」くらいの印象だった。ところがどっこい、すげえじゃねえか山崎育三郎。その唐突に挿入される歌が、物語には一切関係のないダンスが、くどいほど繰り返される顔面のアップが、しつこいくらいに「あっこれ傑作だわ……」と琴線にベタベタと触りまくる。第1話も終盤にさしかかれば、山崎育三郎が画面に出てきただけで期待感:癒し:やかましさが4:4:2くらいの割り合いで押し寄せてくる。

 

 山崎育三郎以外もスゴいんだコレが

「ワンマンショー」と言ったものの、魅力は山崎育三郎だけではない。シスター姿の高梨臨は、可愛いだけでなく美声も必聴。モノローグもうまく、今は亡き声優・川上とも子をも思い起こさせる。

結婚相談所のスタッフが、社内PCで『グランブルーファンタジー』をプレイしているなど細かいネタも見逃せない。前田美波里鹿賀丈史が出演するなど、ワキの固さもぬかりなしだ。加えてゲスト女優として、結婚できないヒステリー女性役に『牡丹と薔薇』の小沢真珠を配置。遊び心が豪華すぎやしないか。

 

毎週金曜の深夜に「あ~1週間の疲れをほぐしたいな~」や「あ~山崎育三郎のエッセンスを濃縮還元したモノを堪能したいな~」とお思いのかたがた。金曜ナイトドラマ『あいの結婚相談所』(23時15分~)をぜひご覧いただきたい。

突然襲い来るミュージカル演出、そして山崎育三郎のうさん臭い微笑みが、きっと視聴者をとりこにするはずだ。