キタキツネの赤ちゃん

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『嘘を愛する女』感想 過去と未来を「つなぐもの」

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嘘を愛する女』観てきました。高橋一生長澤まさみに釣られて観てきました。
序盤のサスペンス感の盛り上げに対し、後半の謎解きパートはちょっと……な印象。ただ俳優陣と主題歌は本当によかった。吉田鋼太郎川栄李奈・DAIGOだけでも観る価値あると思います。

映画をすでに観た人向けの感想となっていますので、ネタバレにご注意ください。

ストーリーは公式サイトに書いてありますのでそちらを。
http://usoai.jp/about/story.html

ざっくり言うと「同棲中の彼氏が病気で倒れた! 彼氏の身分は偽造されていた! 彼氏が書いている途中だった小説を発見! 小説に出てくる場所に行って彼氏の過去を探る!」となっています。

相手の過去、自分の過去をいかに消化するか

あらすじからもわかるように、この映画は「過去にどう向き合うか」のお話です。倒れた彼氏が桔平(高橋一生)。桔平の過去を探す彼女が由加利(長澤まさみ)。

ふたりを取り巻く他の登場人物が非常に魅力的で、『嘘を愛する女』を語る上では彼らは不可欠です。

吉田鋼太郎演じる探偵・海原は、妻の過去を「知らなければよかった」と後悔する男。妻の浮気を知り、娘が本当に自分の血を引いているのか疑って、離婚しました。

川栄李奈演じるゴスロリのココアちゃんは、桔平を「なんとしても知りたい」女。完全にストーカーと化しており、郵便物をパクっていきます。犯罪。

知りたくなかった男がおり、知りたがっている女がおり。

そして由加利は「相手の過去を本当に知りたがっているのかわからなくなっている女」です。中盤まではバリバリの行動力でもって瀬戸内海まで行っちゃう。と思いきや、途中から彼女のなかで迷いが生まれる。過去探しへの積極性が息を潜めます。

 

由加利は桔平の過去に向き合って向き合って、最後には彼氏の書く小説に書かれた「女性」が自分であると知る。
この「女性」は亡くなった前妻ではなく「今のパートナー」である由加利なんですね。これによって、桔平は自分の過去へ自分なりにケリをつけようとしていたことが描かれます。

以上をまとめると、桔平の残した小説は表面上は過去を描くアイテムでありながら、その本質は未来を見つめたものだったとなります。

 

ただし桔平はあの悲劇を、完全に過去の出来事として消化したわけではないでしょう。

(あえてあいまいな表現にとどめられているので、本当はどうなのかは観る者の解釈しだいですが)

むしろ、忘れるために無理やり胸の内の深い所へしまいこんでいる印象を受けます。だからこその偽造身分証であり、だからこそ他人に紛れこめる「東京」を選んだ。

 

つまり「過去にどう向き合うか」は『嘘を愛する女』の入り口であって、出口は「過去に向き合った上で未来をどうしていくか」がテーマになっていくわけです。

だから最後に桔平は目を開け、希望的な未来がほのめかされたところで幕がおります。

 

 主題歌『つなぐもの』のメッセージ

で、この映画の主題歌『つなぐもの』がストーリーを補完する名曲なので、ぜひとも触れたい。
歌は松たか子で作詞は坂元裕二。おっと『カルテット』感が急に増してきましたね。

歌詞を一部引用します。曲中で唯一リフレインされている歌詞です。

つつみ つむぎ つづけ つなげるもの

『つなぐもの』の歌詞には「記憶」「思い出す」「シーツにのこる体温」など、過去を思い起こさせるワードが意図的にちりばめられています。

それらを「つつみ」「つむぎ」「つづけ」て、さらに「つなげるもの」。過去を未来にどうつなげていくかというメッセージが読み取れます。さらに歌は続き、以下のように締めくくられます。

つなげ つづけて つながるもの

過去から現在は地続きで、未来へとつながっていく。『嘘を愛する女』が伝えたい核の部分は、坂元裕二のつづる歌詞を聴いて初めて完成すると言えるのではないでしょうか。

いやホントにいい曲なんですよ……

最後に

まとめとなりますが、これだけは言わせてください。

長澤まさみの肌がすごくきれい